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最近読んだ同人誌作品批評

 投稿者:「クレーン」和田伸一郎  投稿日:2011年 1月 9日(日)11時48分1秒
  通報 編集済
  『風の森14号』(2010年11月東京都)
「林檎の傷」遠矢徹彦

 重度身体障害者施設の在園者と職員、そして「青年時代にふとしたことから飛びこむことになった障害者運動を率いて、役所の官僚どもにこの施設を強引に造らせた」園長との人間関係が背景にある。それは、いささかパロディー化されて描かれている。
 元改革者であり、現在権力者である園長が、無頼的な在園者に対して秩序を乱すものとして園内の広報紙に「檄書」と題する一文を掲載した。自分への面当てだといっていた在園者スギオカの葬儀に、赤子を抱いたチャーミングな女性が現れる。
 語り手である、園の職員である「木戸」は、多くを語ろうとしない。多弁にならないよう、控えながら語っている。この木戸の微妙な立ち位置が、物語の不安定さに寄与し、この作品の輪郭をとらえにくくさせている。それは良く言えば作品の余韻であるが、悪く言えばだからどうなんだという、欲求不満を読者に抱かせることになる。木戸はもっと積極的に憤りを語るべきだったと、私は思う。


『まくた269号』(2010年10月・神奈川県)
「マジワル」 中絵馬

 勤務暦15年以上という国際線の客室乗務員「ナオ」の疲れと不安が、この作品全体を被っている。
 妻子のある「木島」との情事が語られているのだが、それは幻覚にも似た頼りなさがつきまとう。例えば次のように、「ナオのなかで一瞬黄色い空の空想が広がり、黄色い空から出た糸にひかれていくように、木島の腕にもたれかかっていった。」
 その木島に今の仕事が「積み重ねにならない仕事」だとして転職を勧められ、40歳を前にしたナオはますます動揺する。ライターとしての木島の自信にひかれ、「望んでいたのはこれだったと思いながら、ナオもまた自分のやり場のない、どうしようもない思いを、木島の体にひとつずつ刻みつけていく。」しかしそれは、ナオの孤独がどこまでも癒されないものと暗示しているようなものだ。
 かつて華やかだった国際線の客室乗務員という仕事が、年齢を重ねるごとに肉体的にハードなわずらわしい仕事に転化していき、重荷と感じられてくる。その悲哀感が、男との性交渉を通じてよく描出されている。そしてそれは、同年代の都会の独身女性の孤独にまで通じていそうだ。

 
 
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