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胡壷・KOKO8号を読んで(2)

 投稿者:kitaohi  投稿日:2009年 6月27日(土)22時47分49秒
  通報 編集済
  胡壷・KOKO第8号の感想の続きです。また、「である調」で書きます。自分のPCにはワードで書いて保存しており、それを載せていますから、どうしてもこのようになってしまいます。お許しください。

パートタイム(納富泰子、胡壷・KOKO(第8号 2009.6.15))

新聞広告に載った「パート秘書募集」に応募し、面接を受け、合格し、辞めるまでの1カ月ほどの小説である。日にちを記録的に追い、事務所という古びたマンションの1室から見たこと、そこで感じたことなど読みやすく纏められている。

社長は古美術商というが、事務所兼住居のマンションには古美術品関係のものは何もない。妻を3か月前になくしたといい、私の机は、奥さんが使っていた鏡台だ。この鏡台は誰も使う人がいない筈なのだが、抽斗の中にある化粧品は時々使った気配が感じられる。

マンションのベランダから見える木造モルタル塗りのアパートからは、毎日老婆の「オムツ替えてくださぁい」という声が聞こえ、この声が延々と続くと、「うるさいっ」というお爺さんの声がする。終りの方で橋本スミオという、義足の21歳の男が登場する。スミオは社長に救われたらしい。

全体を通じて素性のわからない人物、情景、マンションンの所在地など謎めいた書き方で、読者を惹きつけている。最後は、マンションも登場人物もすべてが消えてしまい、なぞ解きは読者が想像する仕組みだ。それはそれで成功しているかもしれない。

私たち生きていく過程で、あまり深入りはしないが、記憶に残る付き合いはたくさんある。しかし、こういった付き合いはすべてこの作品に書かれたようなうたかたの世界なのだと言いたかったのであれば、私は理解できる。この作品を読み、私自身、記憶が残るような年齢になってから今まで何十年も生き、その中で見たいろいろの人はその後どうなったんだろうかと、フッと考えてしまった。

この作品は、私なりに読み、感じたが、作者は違う意図をもって書いたかもしれない。それはそれでいいと思う。小説って、ホントにいいもんだと思った。
 
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